採用された理由は、ストレートな表現と柔軟な対応力

あるマスコミ関係の会社を受けた時の話です。その会社は、筆記試験の後に、3回面接があり、私はなんとか最終面接に進んでいました。最終面接は集団面接で、学生5名に対して、面接官は2名でした。

まず、改めて自己紹介や志望動機など、基本的な質問をされました。 1次と2次の面接では、学生時代に打ち込んだことや、入社してからやってみたいことなどが中心だったのですが、 最終面接では、事前にこちらで想定していなかった質問ばかりされました。

その中でも印象に残っている質問が2つあります。

まず一つ目は、「もし、あなたが先輩社員から、“自分(先輩)のミスを、あなたがしたことにしてくれないか?”と言われたらどう対応しますか?」という内容でした。我々5人の学生は、左から順番に回答することになったのですが、この質問の時は、私は最後の回答者でした。他の学生の話を聞いていると、「自分は、それを受け入れます。」であるとか、「自分のミスではないので抗議します。」という回答に大きく分かれていました。どちらかというと、後者の方が多かったと思います。おそらくその意図は、自分の意見ははっきりと言う、というものだったのでしょう。いくら先輩や上司でも、自分に否がないことを認めるわけにはいかないという立場の意見です。

そんな回答が続く中で、私は他の学生とは少し違う返答をしたのです。 「本当の気持ちとしては、自分のミスではないのでとても辛いですが、先輩の方も、どうしてもそうせざるを得ない理由があったのだと思います。 ですから、今回は私のミスにしても構いませんが、その代わり、今後何か仕事でチャンスを与えてくれませんか?と伝えます。」 私はそう答えました。 これには、面接官のほとんどが大きく頷いていました。おそらく、理想的な回答だったのだと思います。

そして二つ目の質問ですが、今度はランダムに当てられて、それぞれ別の質問に答えるという内容でした。私はトップバッターでした。質問は、「あなたは隣の女性を好きになりました。どのようにアプローチしますか?」というものでした。

実際に、面接では私の隣に女性が座っており、その女性に対してどうアプローチするかというリアルな質問だったのです。 この質問にはさすがに驚き、かなり動揺しました。 私ははじめ、「就職活動の調子はいかがですか?などと、さりげなく声をかけ、徐々に親交を深めるようにしていきます。」と回答しようとしましたが、実際に自分自身が発していた言葉は、「今日会ったばかりですが、もの凄く好きになりました。この後、食事に行きませんか!」というものでした。

面接官からも、他の学生からも笑いが起きていました。 私は、ちょっとストレート過ぎたかなと、若干後悔もしていたのですが、素の自分が言った言葉だったので、これでダメなら仕方がないと覚悟を決めていました。

ちなみに、隣の女性に面接官は、「あなたは、隣の男性(つまり私)からアプローチを受けました。さあどうしますか?」と質問されていました。 その女性は、開口一番「ついていきます!」と即答していました。再び、試験会場は笑いに包まれました。

実は、結果的に最終面接に合格したのは、その女性と私だけだったのです。

マスコミ業界では、ストレートな気持ちや直感が重視されていたのかもしれません。 企業によって求める人材は違うでしょうが、特にマスコミ関係の仕事では、型にはまった人間よりも、個性や柔軟性といったセンスを重点的に見ているのだと思います。 学生に対して、想定外の質問をすることで、その人の性格や伸びしろを確認したいという狙いがあるような気がしました。

私の回答で、特に面接官の好感を得たのは、先輩から声を変えられた時の対応だったと感じています。 社会に出ると、状況に応じた言動や行動が必要になる場合があります。 もちろん、時には自分の意見を貫かなければならないこともあるでしょうが、柔軟に対応できるということも大事な要素です。 その点が、評価されたのだと思います。